山中伸弥教授ら、ウイルスを用いずに人工多能性幹細胞(iPS細胞)樹立に成功 [Science]

2008年10月10日

山中 伸弥 教授(物質-細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター/再生医科学研究所)らの研究グループは、ウイルスベクターを用いずに人工多能性幹細胞(iPS細胞)を樹立することに成功しました。
 従来、iPS細胞(用語説明1)は、体細胞に4因子(Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc)を、それぞれレトロウイルスやレンチウイルスなどのウイルスベクター(用語説明2)で導入することで樹立されてきました。しかし、再生医療への応用に際して、ゲノムへのウイルスベクター挿入に起因する腫瘍形成が危惧されておりました。またウイルスベクターは実験のたびに厳密に管理された実験室で作製する必要があり、iPS細胞技術の普及の障害となっています。
 研究グループは、今回、マウス胎仔線維芽細胞に、3因子(Oct3/4、Klf4 、Sox2)をこの順で搭載したプラスミド(用語説明3)と、c-Mycのみを搭載したプラスミドを同時に導入し、iPS細胞を樹立しました。この新しい方法で誘導されたiPS細胞は従来通り分化多能性を持ちますが、今回、調べたところでは外来遺伝子のゲノム挿入は認められませんでした。この成果は、iPS細胞を、難治性疾患に対する細胞移植治療へ応用する際の安全性向上につながるものと期待されます。

PDF File続きを読む(iCeMS/CiRAニュースリリース)(PDF:588KB) 

Extenal LinkiPS細胞研究センター(CiRA=サイラ)ウェブサイト:ニュース
Extenal Link京都大学ホームページ:ウイルスを用いずに人工多能性幹細胞(iPS細胞)樹立に成功

The Nikkei Weekly(2008年10月14日)
Extenal LinkScienceDaily(2008年10月13日)
The Daily Yomiuri(2008年10月10日 1面)
The Mainichi Daily News(2008年10月10日)
朝日新聞(2008年10月10日 1面)
読売新聞(2008年10月10日 1面・2面)
毎日新聞(2008年10月10日 1面・3面)
日本経済新聞(2008年10月10日 1面・38面)
産経新聞(2008年10月10日 1面)
日刊工業新聞(2008年10月10日 1面)
京都新聞(2008年10月10日 1面・3面)
中日新聞(2008年10月13日 1面 )
科学新聞(2008年10月17日 4面)
Extenal LinkBloomberg.com2008年10月9日)
Extenal LinkREUTERS(2008年10月9日)
Houston Chronicle(2008年10月9日)
に掲載されました。