遠藤政幸准教授、杉山弘教授ら、DNAナノ空間内での酵素反応のコントロールと直接観察に成功 [J. Am. Chem. Soc.]

2010年1月15日

 京都大学 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)の遠藤政幸准教授、杉山弘教授(理学研究科教授兼任)らの研究グループはDNA折り紙法を用いて、2次元DNAナノ構造体「DNAフレーム」構造を新たに設計し、その中に張った状態の64塩基対と緩んだ状態の74塩基対2本の2本鎖DNAを導入しました。このDNAフレームを用いてメチル転移酵素(M.EcoRI)のDNA鎖への結合の様子を高速原子間力顕微鏡(AFM)によって直接観測しました。

 その結果、M.EcoRIは優先的に緩んだ状態の74塩基対DNAに結合することが示され、さらに、メチル化反応効率を調べると74塩基対の配列がよりメチル化されやすいことも明らかとなりました。M.EcoRIはDNA鎖を折り曲げることでメチル化反応を行うことが知られており、DNAフレーム構造を用いることによって2本鎖DNAの張力を制御することで、酵素反応がコントロールできることが初めて実験的に示されたことになります。今後様々な系に利用できる可能性が期待されます。

 論文は米国化学会誌(電子版)に掲載されました。


ニュースリリース
PDF: 240KB

遠藤政幸准教授

杉山弘教授

<論文名>
Extenal LinkRegulation of DNA Methylation Using Different Tensions of Double Strands Constructed in a Defined DNA Nanostructure

Masayuki Endo,1,2 Yousuke Katsuda,2 Kumi Hidaka,2 and Hiroshi Sugiyama1,2,3
  1. Institute for Integrated Cell-Material Sciences (iCeMS), Kyoto University
  2. Department of Chemistry, Graduate School of Science, Kyoto University
  3. Japan Science and Technology Corporation (JST), CREST

Journal of the American Chemical Society*(米国化学会誌)
DOI: 10.1021/ja907649w | Published online: January 15, 2010

* Impact Factor: 8.091
  (7th/127 in Multidisciplinary Chemistry, Thomson Reuters 2008 Journal Citation Reports)


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