植田和光教授、日本農芸化学会賞を受賞

2010年4月9日


植田和光教授

 
 


1985-87年、博士研究員としてプロジェクトに
携わった米国国立癌研究所にて
(右からIra Pastan教授、
Michael Gottesman教授、植田教授)
 
 
 
 
 

 京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)及び同大学大学院農学研究科の植田和光教授が、日本農芸化学会賞(旧鈴木賞)を受賞しました。同賞は、農芸化学の分野で学術上または産業上特に優秀な研究業績を評し授与される日本農芸化学会の最高賞で、真核生物で最初のABCタンパク質MDR1の単離に成功してから20年以上に渡ってABCたんぱく質の研究に貢献してきた同教授の功績が認められたものです。

 2010年3月に東京で開催された日本農芸化学会の年度大会で、植田教授は受賞講演「ヒトABCタンパク質の生理的役割と分子メカニズムの解明」を行いました。

 「膜たんぱく質の研究は可溶性蛋白質に比べて困難で時間がかかる。あと10年間はABCたんぱく質の基礎研究に専念したい」と語る植田教授は、博士研究員時代の1985年から2年間、米国国立癌研究所で「がんの多剤耐性に関与する遺伝子を単離する」プロジェクトに携わっていました。その後、京都大学農学部農芸化学科助手時代の1992年には有望な若手研究者に与えられる日本農芸化学会奨励賞を受賞しています。

 「私が研究者、あるいは人として成長していく上で、海外の友人たちとの交流が大きな影響を持っていたと思います。文化や歴史の異なる背景を持った海外の研究者と学会などで出会って友人になる事によって、さまざまな影響を受けました。日本が豊かになって、若い人たちが留学する事にあまり魅力を感じなくなっているように思います。iCeMSは色々な国の研究者と親しくなれるだけでなく、海外でしばらく生活をするチャンスも得られるので、若い人たちは積極的にチャレンジして自分の成長に役立てて欲しいと思っています。」

<参考>
日本農芸化学会:日本農芸化学会賞一覧