ノーベル賞受賞者の Ferid Murad 博士がiCeMSを訪問

2010年6月15日


iCeMS教員らと意見交換をする Murad 博士

 国際会議に参加するため京都に来ていた Ferid Murad 博士が14日、京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)を表敬訪問し、iCeMSの研究活動や学際融合研究の取り組みについてiCeMS教員らと会談しました。Murad 博士は循環器系における情報伝達物質としての一酸化窒素を発見した功績により、1998年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

 同大学薬学研究科の赤池昭紀教授が Murad 博士に同行し、iCeMSの中辻憲夫拠点長、橋田充教授、上杉志成教授、富田眞治事務部門長を訪れました。

 中辻拠点長によるiCeMSの概要説明の後、メゾ空間※の制御や世界トップレベル研究拠点(WPI)プログラム、iCeMS京都フェロー(若手の主任研究者)ポストの創設等、幅広い話題について意見交換をしました。Murad 博士は、iCeMSが積極的に整備している共用実験室やオープンオフィスについて、多様な分野の研究者が交わって新たなアイデアを生むのに向いていると賛同しました。次第に議論の内容はより科学的なものになり、Murad 博士はがん疾患モデルの作成等、自身の研究における胚性幹(ES)細胞の有用性について説明しました。

 意見交換の後、中辻拠点長はiCeMS本館内を案内し、共用実験室やオープンオフィス、交流スペース等を紹介しました。

 Murad 博士はiCeMSのメゾバイオ1分子イメジングセンター(CeMI)も訪問し、楠見明弘教授(CeMIセンター長)らとの意見交換を楽しみました。


Murad 博士らにiCeMS本館内を案内する中辻拠点長(左)と上杉教授(中央)
 

Murad 博士らと細胞膜におけるシグナル伝達分子の一分子観察について議論をする
大学院生の廣澤幸一朗さん(右)と楠見教授(中央)

 

※メゾ空間:
 これまで広く研究対象とされてきた「ナノ空間(数nm以下の原子と分子の世界)」と「バルク空間(1μm程度以上の日常経験の世界)」の中間に位置する空間。iCeMSでは細胞のメゾ制御機構を解明すると同時に、人工のメゾ空間を作って原子・分子集団を機能性構造体として操作する事を目指しています。更に、これらの構造体を自由自在にデザイン・合成して活用する事で、幹細胞システムを制御する画期的な新技術を開拓します。