仙石慎太郎准教授ら、論説「多能性幹細胞の標準化コンセプトの再考」を発表:技術経営学の視点から [Stem Cell Reviews and Reports]

2010年11月19日

 仙石慎太郎 京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)准教授は、隅蔵康一 政策研究大学院大学 准教授、沖俊彦 東京大学医科学研究所 特任助教、中辻憲夫iCeMS教授らと共著した論説「多能性幹細胞の標準化コンセプトの再考」を発表し、米国東部時間2010年11月18日に米科学誌「ステムセル・レビューズ・アンド・レポーツ」電子版に掲載されました。本論説は、多能性幹細胞の技術標準コンセプトを国内外の取り組みに基づき再考するとともに、多能性幹細胞の技術マネジメントのためのフレームワークの提案を目的としています。

 まず著者らは、多能性幹細胞や関連技術に関する国際標準化の施策と、特にイギリス・アメリカ・日本における取り組みを精査し、以下の2つの課題を挙げています。ひとつは、あらゆる幹細胞種の医療・産業応用の可能性が検討されるべきであるのに、現行の標準化施策や取り組みがES/iPS細胞に限定されている点です。もう一つは、標準化の検討課題が、他の産業分野に比べ、極めて狭義に捉えられている点です。そこで著者らは、これらの課題への方策として、技術経営学の観点から、技術標準化の戦略的フレームワークを構築・提案しました。本フレームワークの活用により、特許だけでなく標準化のリーダーシップ発揮を通じた知的財産形成を、研究開発の競争力向上の手段として位置付けることができるようになります。そして、これら標準化の施策は、まず個別化、次いで互換性を持つ標準化、というプロセスを経ると考えられます。


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文献情報

Extenal LinkRedefining the Concept of Standardization for Pluripotent Stem Cells

Shintaro Sengoku, Koichi Sumikura, Toshihiko Oki, and Norio Nakatsuji

Stem Cell Reviews and Reports | DOI:10.1007/s12015-010-9204-8
Published online: November 18, 2010