中辻憲夫教授、世界幹細胞サミット全体会議で講演

2011年10月6日

 中辻憲夫京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)拠点長は5日、米非営利機関 ジェネティクス・ポリシー・インスティテュート(GPI)の主催する「2011 World Stem Cell Summit(世界幹細胞サミット)」のプレナリー(全体会議)に登壇しました。7回目となる今年は米カリフォルニア州パサディナで開かれ、過去最大となる1,400人が参加しました。

 プレナリーは「世界トップレベル研究機関における再生医学の推進戦略」をテーマとし、バーナード・シーゲル GPI 代表取締役から「3日間のプログラムの中で最も強い関心を持っている」との紹介を受けて始まりました。英ロンドンビジネススクールのアレイン・バルテス博士が座長を務め、中辻教授、スウェーデン・カロリンスカ研究所のカール・ヘンリック・グリネモ博士、独ライプツィヒ大学のフランク・エムリッヒ教授が、各機関の取り組みと展望を紹介しました。組織戦略論に留まらず、独自の研究アプローチや新たな技術課題など、研究内容まで踏み込んだ講演となりました。

 個別取材に応じたシーゲル代表取締役は「カロリンスカ、ライプツィヒ、京都といった、世界でも手本となるような大学・機関から講演者を迎えることができ、非常に意義深かった。来年以降も、日本のトップ研究者を招待したい」とし、同サミットの発展においてアメリカ国外からの参画が不可欠である点を強調しました。

 アメリカ国営放送局 VOA(44ヶ国語放送、視聴者規模1億2千万人)は、日本における幹細胞研究の現状に注目し、関連の深い講演をした中辻教授にインタビューを行いました。「長年にわたって哺乳類の発生生物学に従事し、2003年には日本初のヒトES細胞株を樹立するに至ったあなたの研究を、もう少し詳しく」、「アメリカに見られる幹細胞規制は、日本やアジア諸国にも共通するか」、「あなたの幹細胞研究のゴールは」といった質問への受け答えが収録されました。VOAラジオでの放送と、VOAウェブサイトでの掲載が近日中に予定されています。

 同サミットは2005年、難病治療に向けた幹細胞研究とその医学応⽤を推進するため、GPIの提唱により「Stem Cell Policy and Advocacy Summit」として始まりました。以降、年次集会として定着し、2008年に現在の「World Stem Cell Summit」に改名されました。

 今年は、⽶カリフォルニア再⽣医療機構(CIRM)、⽶カリフォルニア⼯科⼤学、在ロサンゼルス・カナダ総領事館など7機関が共催し、iCeMSや⽶ハーバード⼤学幹細胞研究所(HSCI)など計120機関が協賛しました。例年、研究機関、患者団体、産業界、政府機関、財界など幅広い層からの参加があり、2009年には27か国から約1,200⼈が集まりました。

文・写真:飯島由多加


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写真

2011 World Stem Cell Summit 会場のパサディナ国際会議場(米国・カリフォルニア州)
2011 World Stem Cell Summit 会場のパサディナ国際会議場(米国・カリフォルニア州)
 
基調講演をするアンドリュー・グローブ インテル共同創設者・元CEO:<br>
演題「Translational Medicine: Key to Progress or Bridge to Nowhere?」
基調講演をするインテル共同創設者・元CEOのアンドリュー・グローブ博士
演題「Translational Medicine: Key to Progress or Bridge to Nowhere?」
 
左から、GPIのアラン・フェルナンデス広報部長、シーゲル代表取締役
左から、GPIのアラン・フェルナンデス広報部長、シーゲル代表取締役
 
中辻教授が登壇したプレナリーの会場の様子
中辻教授が登壇したプレナリーの会場の様子
 
プレナリーで講演する中辻教授
プレナリーで講演する中辻教授
 
左から、ゲイリー・クレアリー米バイオメディカル企業 Cyterion 社長・CEO、淺田孝iCeMS特任教授
左から、ゲイリー・クレアリー米バイオメディカル企業 Cyterion 社長・CEO、淺田孝iCeMS特任教授
 
共催・スポンサー機関等のブース展示:写真は⽶カリフォルニア再⽣医療機構(CIRM)
共催・スポンサー機関等のブース展示:写真は⽶カリフォルニア再⽣医療機構(CIRM)
 
ポスターセッションの様子
ポスターセッションの様子
 
サミット参加者らとのディスカッションに加わる中辻教授(手前右)
サミット参加者らとのディスカッションに加わる中辻教授(手前右)
 
再生医学コミュニティの発展に顕著な貢献をした機関・個人を表彰する、幹細胞アクション・アウォードの授賞式
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