山中伸弥教授、ノーベル生理学・医学賞をジョン・ガードン卿と共同受賞

2012年10月9日

 カロリンスカ研究所(スウェーデン)ノーベル賞選考委員会は8日、山中伸弥 京都大学iPS細胞研究所(CiRA)所長・教授/同物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)連携主任研究者と英ケンブリッジ大学教授のジョン・ガードン卿に、ノーベル生理学・医学賞を贈ると発表しました。成熟した細胞を、多能性(体のあらゆる細胞に分化する能力)を持つ状態に初期化できる事を発見した功績が認められ、今回の受賞に至ったものです。詳細は、本ページ末尾の「関連リンク」をご覧ください。

 

コメント:井村裕夫WPIプログラム委員会委員長/(財)先端医療振興財団理事長

「山中伸弥博士(WPI 京都大学 物質-細胞統合システム拠点主任研究者)によるノーベル生理学・医学賞受賞について」

 本日、文部科学省が進める世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の採択拠点である京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)の主任研究者である山中伸弥博士のノーベル生理学・医学賞受賞が発表されました。博士及び関係者の皆様方に心よりお祝い申し上げます。

 山中伸弥博士は、平成19 年度の設立当初より、iCeMSで主任研究者を務めています。この受賞は、本プログラムによって設立された拠点が、世界的な頭脳循環において、第一線の研究者が集まる拠点となっていることを示す一つの証左であり、本プログラムを推し進めてきた我々としても非常に喜ばしく感じています。

 引き続き、我が国において、世界トップレベル研究拠点が名実ともに確立されていくようプログラムを推し進めるとともに、ノーベル賞受賞をはじめとする素晴らしい業績が今後も輩出されることを期待しております。

 平成24年10月8日
 世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)委員会
 委員長
 井村 裕夫

 ※文部科学省ウェブサイトより転載
 ※英語版コメントも同ウェブサイトに掲載されています。

 

コメント:中辻憲夫iCeMS拠点長・教授

 山中先生、ノーベル賞の受賞おめでとうございます。京都大学のiCeMSおよび再生医科学研究所の教授として、そして同じ分野の研究者として、この上ない快挙だと喜んでいます。

 我々の体を作る皮膚や肝臓などの分化細胞を、人工的な手段で初期化して、未分化なES細胞のような多能性幹細胞すなわちiPS細胞に変化させるのが可能だと示したことは、生物学の歴史に残る画期的な研究業績です。今回の受賞により、この初期化機構の全容解明を目指す基礎研究の更なる発展に加えて、それを利用した患者由来疾患モデル細胞による新薬開発などへの応用が更に発展することを願います。

 平成24年10月8日
 京都大学 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)拠点長・教授
 中辻 憲夫

 

写真


第61回 iCeMS セミナーで講演するジョン・ガードン卿(左)と、
若手研究者らとともに講演に聞き入る山中伸弥教授(右中央)(2010年11月26日、京大iCeMS本館)


関連リンク


iCeMSとCiRAについて

 2007年11月、京都大学 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)主任研究者の山中伸弥教授が、ヒトの皮膚細胞から人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作製に成功した事を発表しました。

 2008年1月には、iPS細胞研究を強力に推進するため、iCeMSの附属施設としてiPS細胞研究センター(CiRA=サイラ)が設置され、中辻憲夫iCeMS拠点長が山中教授をセンター長に任命しました。

 2010年4月、京都大学はiCeMS内の同センターを改組し、京都大学の附置研究所として「iPS細胞研究所(CiRA)」を設立しました。初代CiRA所長には山中教授が就任しました。以降、iCeMSとCiRAは姉妹研究所として協働を続け、iCeMSではES/iPS細胞などの幹細胞研究に寄与する物質-細胞統合科学の創出を目指し、CiRAではiPS細胞による再生医療や創薬の実現化を目指しています。