北川進iCeMS拠点長の日本学士院賞受賞が決定しました

2016年3月14日

※ 略歴・業績などを追加しました。(2016年3月30日)


北川 進 拠点長

 このたび、北川進 物質-細胞統合システム拠点長がExtenal Link第106回 日本学士院賞を受賞することになりました。日本学士院賞は、学術上特に優れた研究業績に対して贈られるものです。

 北川進教授は、昭和49年京都大学工学部を卒業、同51年同大学大学院工学研究科修士課程を修了し、同博士後期課程に進学、同54年に京都大学工学博士の学位を取得しました。昭和54年4月近畿大学理工学部助手に採用され、同58年4月同講師、同63年4月同助教授、平成4年4月東京都立大学理学部教授を経て、同10年6月京都大学大学院工学研究科教授に就任、同19年10月からは物質-細胞統合システム拠点教授となり副拠点長を併任、同25年1月からは拠点長に就任し、現在に至っています。

 今回の日本学士院賞の受賞題目は「多孔性金属錯体の創製と応用に関する研究」であり、北川拠点長・教授は、金属イオンと有機分子の結合を利用することで、ナノメートルサイズの規則的な孔を無数に有する多孔性金属錯体材料の合成および機能の開発に関する研究を行いました。有機分子を用いる多孔性材料は無機材料に比べてもろく、分子、イオンを収容する材料として適さないと信じられていましたが、金属錯体材料は熱や圧力などの物理的刺激に対しても安定しており、実用に適する新しい物質群であることを実証しました。多孔性金属錯体材料は、有機分子と無機イオンの素子の設計と配位結合を制御するだけで簡便に合成でき、細孔の空間構造、形状、機能をナノレベルで自在に精密制御できる材料として認められています。北川教授は独自の多孔性構造の設計指針にもとづき、既存の多孔性材料の性能を凌駕する環境、エネルギー、バイオ課題にかかわる気体分子を低エネルギーで分離、貯蔵する多孔性金属錯体材料を発明しました。この業績は無機・錯体化学はもとより、今日の諸問題(エネルギー、環境、生命)に対し、化学が解決するために取り組むべき新領域の開拓に貢献し、国際的に高く評価されています。


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