ノーベル賞受賞者ジャン=マリー・レーン氏、iCeMSを訪問

2016年3月16日

 3月14日、京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)は、ノーベル化学賞受賞者であるジャン=マリー・レーン教授(ストラスブール大学)を招いて、意見交換会を行いました。

 レーン教授は、複数の分子が共有結合しない状態で秩序立って集合し、弱い相互作用によって新しい構造を作り上げる「超分子」という概念の提唱者です。これは、分子の構造や機能は化学結合のみに依存せず、その分子の集合状態によって変わるというものです。レーン教授は、合成したクリプタンドという分子がイオンを選択的に取り込むという、分子とイオンの新しい構造体に関する研究により、1987年にノーベル化学賞受賞しました。

 「超分子」化学は日本国内の化学研究にも多くの影響を与え、今では我が国が最も得意とする研究分野のひとつになっています。また、化学のみならず生化学や生物学分野でも大きな流れを生み出し、タンパク質やDNAも超分子のひとつであるという概念が受け入れられています。化学と細胞生物学の最先端融合研究を行うiCeMSは、今回のセッションでレーン教授にiCeMSが積極的に取り組んでいる研究テーマについて説明した後、全員でそれを更に良くするためのアイデアについて活発に議論を行いました。

 レーン教授からは、「材料科学、生物学の組み合わせは時々不自然なものになってしまうが、iCeMSは互いの分野を学び合っていて、基礎と応用の新しいアイデアのためにとてもよい環境だと思う。『わたしが世界を変える』という信念はよい。」と激励の言葉があり、盛会のうちに訪問は終了しました。


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レーン教授の紹介をする北川進iCeMS拠点長


セミナーを行うレーン教授


真剣に講演を聞くiCeMSの研究者たち


セッション1でレーン教授と意見を交わした若手研究者たち



セッション1の様子





セッション2でレーン教授と意見を交わした研究員と学生たち


セッション2の様子