第1回 iCeMSカフェを開催しました








2008年3月1日、iCeMS(アイセムス)カフェ第1回「分子でつくる分子のおうち」が京都市内の町家「ちおん舎」で催されました。会場は終始和やかな雰囲気に包まれていました。

ゲストの北川 進さん(アイセムス副拠点長/工学研究科教授)による「モノでもヒトでも、分離するのは難しい」という身近な例え話で始まりました。 その後、話題は徐々に化学に移り、参加されたみなさんも肩の力を抜いて、普段あまり考えることのない「分子の世界」へと自然に入っていくことができたので はないでしょうか。

その後、6人ほどで囲んだテーブルごとで紅茶・コーヒーとお菓子を楽しみつつ、磁石タイプの立体パズルを使って、分子構造を自由につくる体験をしました。十人十色の"分子のおうち"ができあがり、おおいに歓談が盛り上がりました。

ガス実験用装置を使った実演もありました。この実験では、同じ圧力で二酸化炭素を入れたにもかかわらず、吸着剤(ここでは活性炭)が入っていた容 器には、たくさんの二酸化炭素が入ったことを確かめることができました。吸着剤が二酸化炭素を高密度に捉えていたということになります。

北川さんは、ガス吸着能に優れた「多孔性金属錯体」の研究を行っています。多孔性金属錯体は「ある特定の物質を吸着すること」が最大の特徴で、こ れが活性炭との決定的な違いです。この特徴を活かして、例えば二酸化炭素(O=C=O)とアセチレン(H-C≡C-H)といった棒状のよく似た分子からア セチレンだけをより分けるといったことが可能です。そのため、活性炭を"市民交流ホール"に例えるならば、多孔性金属錯体は"オーダーメイドのおうち"に 例えることができます。メタン、水素などを吸着するものも報告されていて、次世代エネルギー社会の実現に大きく貢献しうる新たな機能物質として注目を集め ています。

これは、アイセムスの掲げる「環境に優しい化学」が目で確認できる、一つの形と言えるでしょう。

最後に、"分子建築家"北川さんによるプレゼンテーション「分子でつくる分子のおうち」がありました。北川さんは、ガスが多孔性金属錯体に吸着さ れる仕組みを"分子がおうちに入る"感覚で冗談を交えつつ説明しました。活発な質疑応答も交わされ、参加されたみなさんは、イベントが終了した後もしばら く会場に残って交流を温めていました。

参加されたみなさんからは、

「リラックスして楽しく聴けました。」
「ロケーション、雰囲気が良かった。」
「他分野の研究が感覚的に分かった。」
「道具を使って遊べたのが良かった。」

という、うれしい言葉をいただきました。

会場「ちおん舎」の和の雰囲気と、"北川分子建築事務所"(北川研究室)のみなさんのわかりやすいお話のおかげで、科学が身近な存在になった1日でした。

次回のアイセムスカフェは、2008年5月10日(土曜日)を予定しています。

PDF File事前に配布していたチラシ (409 KB)
PDF File当日の閉会時に配布した覚え書き (136 KB)

>会場「Extenal Linkちおん舎
>協力「Extenal Link北川研究室
>共催「Extenal Link井戸端サイエンス工房