第11回 iCeMSカフェを開催しました

掲載:2012年12月26日

第11回iCeMSカフェ

第11回iCeMSカフェ

第11回iCeMSカフェ

第11回iCeMSカフェ

第11回iCeMSカフェ

第11回iCeMSカフェ

 

 冬の寒さも本格的になってきた2月の週末、iCeMSコンプレックス1本館・2階ラウンジでは、第11回iCeMSカフェと第12回iCeMSカフェが2日間連続で開催されました。1日目となる2012年2月18日のテーマは、「究める:幹細胞を使って調べる、病のしくみ」。前日の夜から雪が降り積もり、この日の京都大学界隈は真っ白でした。大文字山の「大」の字が白く抜けているのがiCeMSの窓からも見え、京都らしい風情が感じられました。とても寒い中お越しくださった23名のみなさま、どうもありがとうございました。

 この日のiCeMSカフェには、iCeMS拠点長中辻憲夫さんと、中辻グループのみなさんが登場しました。中辻グループでは、幹細胞の作成と、その利用方法を研究しています。障子の後ろから登場した中辻さんにはまず「幹細胞って何なのか?」を、紙芝居で紹介してもらいました。

 幹細胞は、いろんな種類の細胞の「もと」になる、まっさらな状態の細胞です。例えば、ES細胞やiPS細胞などの多能性幹細胞(テレビや新聞などで「万能細胞」という名前で紹介されていることが多いです)。こうした細胞は増殖する速度がとても速く、必要な時に必要なだけ細胞をつくることができます。病気の治療や新薬の開発などのいろいろな目的を目指して研究が進められています。難病治療への実用化はまだ遠いのですが、新薬の安全性のテストに多能性幹細胞を使う実用化は始まっています。研究が進んでひろく多能性幹細胞が使われるようになれば、これまで主流だった新薬開発の方法も変わっていくかもしれません。

 最後に、iPS細胞から作った心臓の細胞が実際に動く様子をビデオで見てみました。人が手を加えた細胞の1つ1つが脈を打っているというのは何だか不思議です。

 紙芝居の後はテーブルでのおしゃべり。どんな話かをちょっと聞いてみると・・・「細胞ってどうやって“役割をもった細胞”に成長するの?」「目的の組織に成長するためのスイッチがあるの?」「幹細胞から作った臓器ってまるごと移植できるの?」といった、幹細胞のなりたちと実用化についての話から、「どうしてこの研究をしようと思ったの?」など、研究者生活に突っ込むような話までいろいろな話題が持ち上がっていました。けれど、多能性幹細胞を使った研究の未来は、実はまだ「〜かもしれない」しか言えないことばかりです。おいしいお菓子に舌鼓を打ちつつ、幹細胞研究のいまとこれからを語った時間は、駆け足で過ぎていきました。

   「次回の案内を送って」などなど、ご意見やご案内を希望される方は science-cafe@icems.kyoto-u.ac.jp までご連絡ください。お待ちしています!!

文 :森奈保子(京都大学農学部 2回生)、iCeMS科学コミュニケーショングループ
写真:元木環


テーマ 究める:幹細胞を使って調べる、病のしくみ
ゲスト 中辻憲夫(iCeMS 拠点長)、他 中辻グループのみなさん
開催日時 2012年02月18日(土曜日)14時00分-15時30分
開催場所 iCeMSコンプレックス1 本館 2F交流ラウンジ
当日のお茶とお菓子 古都緑(丸久小山園)、ひなの餅・つばらつばら(鶴屋吉信)、福だるま(本家 船はしや)
主催 京都大学 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)