第12回 iCeMSカフェを開催しました

掲載:2012年12月26日

第12回iCeMSカフェ

第12回iCeMSカフェ

第12回iCeMSカフェ

第12回iCeMSカフェ

第12回iCeMSカフェ

第12回iCeMSカフェ

 

 第11回iCeMSカフェに引き続いての「究めるシリーズ」第2日目(2012年2月19日)。寒さは相変わらずで、雪もまだところどころ残っていましたが、ガラス越しの日差しはどこか暖かみがありました。この日は全国車いす駅伝が京都で開催されていたこともあり、iCeMSカフェの準備中には、iCeMSコンプレックス1本館の前を選手たちが駆け抜けて行くのが見えました。今回のiCeMSカフェには、iCeMSメゾバイオ1分子イメジングセンター(CeMI)講師の藤原敬宏さんと、CeMIのみなさんが登場しました。16名の参加者の方々と熱い会話を繰り広げていました。

 CeMIでは、いろいろな研究に使ってもらうため、メゾスケールで細胞を見る技術と方法を開発しています。CeMIのメンバーが普段見ている細胞の世界は、特別な顕微鏡を通した極小サイズ。細胞のはたらきや情報のやりとりのしくみなどを観察するために、赤や緑の色を付けた粒子が浮かんでいる様子は、さながら宇宙にうかぶ星のよう。

 「ナノ」より少しだけおおきなスケールの「メゾ」ワールド。この世界を観察するには、主に2つの方法があります。1つ目は「1分子観察」。見たい分子1つ1つに色つきの光を付けて観察をします。こうすることで、生きたままの細胞の中で、目標の分子がいったいいつ・どこで・どれくらいの時間働くのかを調べることができます。分子そのものは、「ブラウン運動」というランダムな動きをしながら細胞の中や外を移動しています。実際には細胞の中のこまかな網目に、ある程度閉じ込められる効果で、移動するのにかかる時間や、分子の集合がうまくコントロールされているということでした。

 2つ目は「急速凍結電子顕微鏡法」。生きた細胞を超瞬間的に凍らせて、カメラのストロボ・フラッシュのように、「生きている瞬間を切り取った」細胞を観察します。この顕微鏡を使って、たとえば、薬が細胞の中を通って行く道筋を追いかけたりしています。「1分子観察」でみた映像のようにカラフルではありませんが、とても精巧な、臨場感あふれる映像を3Dで見ることができます。

 さて、テーブルに戻ったお客さんのおしゃべりを覗いてみました。「動いて見える顕微鏡ってすごい!」「きれいな画像を映し出す技術にはびっくりする」といった、映像技術の高さに驚く声はもちろん、「凍結技術を何かに生かせないかな?」など、顕微鏡でものをみること以外の技術に思いをめぐらせる人も。「そもそも顕微鏡ってどんなところで使われているの?」と気になって研究者さんをつついてみると、思いがけなくリアルな生活環境を知ることができたりもしました。お菓子を食べながら話し込んでいると、1時間半は本当にあっという間です。カフェが終わるころには大文字山に積もっていた雪もだいぶ溶けて、茶色の山肌が見えていました。

 「次回の案内を送って」などなど、ご意見やご案内を希望される方は science-cafe@icems.kyoto-u.ac.jp までご連絡ください。お待ちしています!!

文 :森奈保子(京都大学農学部 2回生)、iCeMS科学コミュニケーショングループ
写真:元木環


テーマ イメジング技術をつかってしらべる、細胞のなかみ
ゲスト 藤原敬宏(iCeMSメゾバイオ1分子イメジングセンター(CeMI)講師)、諸根信弘(iCeMS 講師)、吉村安寿弥(iCeMS 研究員)、近藤愛子(iCeMS CeMI 研究支援員)
開催日時 2012年2月19日(日曜日)14時00分-15時30分
開催場所 iCeMSコンプレックス1 本館 2F交流ラウンジ
当日のお茶とお菓子 古都緑(丸久小山園)、ひなの餅・つばらつばら(鶴屋吉信)、福だるま(本家 船はしや)
主催 京都大学 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)