第17回 iCeMSカフェを開催しました

掲載:2015年9月18日

第17回iCeMSカフェ

第17回iCeMSカフェ

第17回iCeMSカフェ

第17回iCeMSカフェ

第17回iCeMSカフェ

 

 8月23日、よく晴れた日曜日の午後、iCeMSカフェが開催されました。今回のテーマは「記憶」。iCeMS本館2階交流ラウンジでは、iCeMS王丹グループの8名と21名の参加者が、6つのテーブルに分かれて座り、語り合いました。参加者は、中学生、定年退職を迎えられた方、教育関係者、研究者、など多様なバックグラウンドを持っていました。今回、iCeMSカフェでは初の試みとなる託児サービスを利用して、子どもを預けて参加してくださった方々もいました。みなさんに共通していたのは「記憶」についてもっと知りたい!という思いです。

 冷たい水出し緑茶を飲んで一息ついたら、まずは研究紹介。「記憶から分子まで」というテーマで王丹さんから“紙芝居”を使ったお話がありました。最初に簡単な単語記憶テスト。王丹さんが読み上げる7つの単語を即座に記憶できるでしょうか。なかなか難しいけれど順番と単語を結びつけてみたり、単語を映像で覚えてみたり。工夫してみると記憶しやすいかも。そのようなことを考えながら、記憶のしくみ、記憶を長く維持するために脳内で起こっていること、と少しずつ王丹グループの研究テーマに近づいてゆきました。王丹グループは、RNA(リボ核酸)を蛍光色素で光らせる技術を開発することで、生物に害を与えることなく分子レベルの活動を「覗く」ことに成功しました。この技術によって、学習など長期に渡り何かを記憶するときの分子レベルのしくみがわかるようになるかもしれません。

 ここからはお待ちかねのカフェタイム。王丹グループの研究者と参加者の会話内容とその様子を一部ご紹介します。

 「シナプス可塑性とは?」「RNAはどこに結合するのか?」「海馬の名前の由来は?」矢継ぎ早に投げかけられる質問に、王丹グループメンバーは丁寧にひとつひとつ答えていました。このメンバーに後で聞いてみると、「バックグラウンドが多様な方々と研究について話せて、親戚が集まった時のようで楽しかった」とのこと。少人数でテーブルを囲んでざっくばらんにお話しできるのは、iCeMSカフェの特長のひとつです。

 「記憶とは何か」そのメカニズムについて知りたいと思って参加した方もいました。ですが、分かったのは、「まだ解明されていない」ということ。残念ながら、複合的な実験と考察が必要となる問いへの結論は簡単には出せません。けれども、参加者の方からの「知りたい」という気持ちを知ることで、日々研究を続ける研究者のモチベーションは上がるはずです。

 リラックスできる雰囲気を作り出すのに、おやつも一役買ってくれていました。夏をテーマに選りすぐられた京都のお菓子の共通点は、ご縁をつなぐ「丸い形」。楽しいひとときが過ぎ去っても、カフェでつながったご縁と「記憶」はこの先もずっと長く続きますように。

 最後に記入していただいたアンケートには、「一方的な講演と違って、やり取りができた。質問もできたし、同じグループの人の考えにもいろんな発見がありました。」「研究頑張ってください。記憶について考える事は楽しかったです。」という嬉しい言葉も書かれていました。

 「次回の案内を送って」などなど、ご意見やご案内を希望される方は science-cafe@icems.kyoto-u.ac.jp までご連絡ください。お待ちしています!!

文:天野彩(京都大学大学院農学研究科修士2回生)、iCeMS科学コミュニケーショングループ
写真:中植由里子

第17回iCeMSカフェ


テーマ 「記憶」の仕掛けをのぞく
ゲスト 王丹(京都大学 iCeMS 助教/iCeMS京都フェロー)
藤原芳江(iCeMS 研究員)
Belinda Jane Goldie(iCeMS 研究員(JSPS))
大町優史(iCeMS 研究員)
Wan-Ting Hong(iCeMS 研究支援員)
Youqi Liao(iCeMS/医学研究科 博士課程)
小原孝之(iCeMS/生命科学研究科 博士課程)
大本育実(iCeMS/生命科学研究科 博士課程)
開催日時 2015年8月23日(日曜日)14時00分-15時30分
開催場所 iCeMS本館 2F交流ラウンジ
当日のお茶とお菓子 水出し煎茶(丸久小山園)、ごえん(京洋菓子司 ジュバンセル)、京おぼろ(京御菓子司 亀屋清永)、まめあわせ(京都・祇園 無京煎堂)、小口(御菓子司 塩芳軒)
主催 京都大学 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)