研究

2017年10月30日

新規ナノファイバー・iPS細胞由来心筋組織片を用いた再生医療技術の開発 -安全・配向・3次元心筋組織の構築に成功-

図:生体内の心臓組織の微小環境を模倣し人工的に心筋構造を再生するため、安全性の高い生体分解性素材を用いて、心筋細胞培養に最適化した配向性ナノファイバーを作成し、ヒトiPS細胞から作成した高純度のヒト心筋細胞と組み合わせ、実際の心臓組織に近い3次元多層構造と筋繊維の配列構造を持つ、ナノファイバー融合型の心筋組織片を構築した。この心筋組織片をラット心筋梗塞モデルに移植した結果、厚みのある細胞組織の生着が認められ、同時に梗塞で低下した心機能の有意な改善が見られた。また、この心筋組織片は薬剤応答に関する電気生理学的な機能性に優れているため、今後創薬分野や薬剤評価の新規手段としての応用が期待される。

 iCeMSの劉莉連携准教授(兼・工学研究科特定准教授)、李俊君 工学研究科特定研究員、南一成 大阪大学特任准教授、澤芳樹 同教授、陳勇 フランス・パリ高等師範学校教授らの研究グループは、新たに開発されたナノファイバー(直径1ナノ〜数マイクロメートル程度の繊維状の構造体)材料を用いて、安全性と配向性(配列の方向がそろう性質)、3次元構造を持ったヒトiPS細胞由来の心筋細胞の組織構築に世界で初めて成功しました。

本研究成果は、2017年10月27日午前1時に米国の科学誌「Stem Cell Reports」で公開されました。

 詳細は以下のページでご覧いただけます。

京都大学ウェブサイト | 新規ナノファイバー・iPS細胞由来心筋組織片を用いた再生医療技術の開発 -安全・配向・3次元心筋組織の構築に成功-

研究について説明する劉莉連携准教授(左から2番目)