第16回 iCeMSカフェを開催しました

掲載:2014年2月3日

第16回iCeMSカフェ

第16回iCeMSカフェ

第16回iCeMSカフェ

第16回iCeMSカフェ

第16回iCeMSカフェ

第16回iCeMSカフェ

 

 1月11日(土)、冬の空気が澄み渡る中、大文字を望むiCeMS本館2階交流ラウンジで第16回iCeMSカフェが開催されました。10代から60代の方まで、22名の方にご参加いただきました。科学を子供たちに伝えたいと考えておられる小学校の先生、iCeMSでどのような活動をしているのかということに興味のある方、文系の大学生、ご夫婦で参加された方など多様な参加者のみなさんでした。寒い中ご参加いただき、ありがとうございました。

 今回のiCeMSカフェは、斎藤通紀グループによる「生殖細胞」のお話がテーマでした。最初に斎藤通紀さんからグループでどのような研究をしているのか“紙芝居”を使ったお話がありました。斎藤さんの根っこにある疑問は「新しい生命はどのように産み出され続けているのだろう?」というもの。生殖細胞として卵子や精子が知られていますが、これらは既に生殖細胞の完成形なので、これらだけを見ても、謎に迫ることができません。そこで卵子や精子になる前の、前の、前の、一番始め、胎児の中に20-30個だけある始原生殖細胞を調べることで、どのように生命が産み出されるのかを研究しています。また、この研究室では、マウスを使って、iPS細胞から始原生殖細胞を作ることに成功しています。斎藤さんのお話の中には、生殖細胞の研究について考えるヒントがたくさんありました。

 “紙芝居”の後は、4-5人ごとにテーブルに分かれて自由にお話をしてもらいます。各テーブルには、斎藤グループの若手研究者が1人ずつ参加しました。5つのテーブルではどんなことが話題になっていたのか、一部をご紹介します。

 実験技術や使われている細胞について、たくさん質問が出ていました。「培地って何が入っているの?」、「遺伝子のスイッチがオンになるかどうかは、細胞ごとに決まるの?」。中でも面白かったのは、「どうしたら体細胞から幹細胞に変わったと分かるの?」という質問に対する答えで、「ずっと細胞を見ているとなんとなく分かるようになる。」のだそうです。細胞の表情や機嫌も分かるようになるのだとか。

 また、研究の倫理的な側面や社会的な側面に関わる話題もたくさん持ち上がりました。「研究で何かが分かったが、それを知らなかった方がよかった、ということもあるのではないか。」それに対してある研究者は「まずは事実を解明し、選択ができるようにしたい。」と答えていました。科学の進歩が人の選択に影響している例として、女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが将来乳がんにかかる確率が高いということが分かり、両乳房を全摘出したことなども話題にのぼっていました。
 
 お茶とお菓子で一服しながら交流は続き、みなさんがそれぞれ考えを巡らせている内にiCeMSカフェの時間はあっという間にすぎ、蛍の光が流れ始めました。そろそろ楽しかった交流の場もお開きです。

 最後に記入していただいたアンケートには、緊張感やストレスをほぼ感じることなく、研究者と同じ目線で、対等に話すことができたと書いてくださった方が多数いらっしゃいました。大学の外にいるとなかなか接する機会の少ない「研究者」ですが、意外と気さくな人たちだったりもします。今回、iCeMSカフェを通して大学や研究を少し身近に感じてもらえたのではないでしょうか。

 「次回の案内を送って」などなど、ご意見やご案内を希望される方は science-cafe@icems.kyoto-u.ac.jp までご連絡ください。お待ちしています!!

文 :竹村毬乃(京都大学医学部人間健康科学科2回生)、iCeMS科学コミュニケーショングループ
写真:Peter Gee


テーマ 生命サイクルを紡ぐ仕掛けを探る
ゲスト 斎藤 通紀(京都大学 iCeMS 主任研究者/大学院医学研究科 教授)、他、斎藤通紀グループのみなさん
開催日時 2014年1月11日(土曜日)14時00分-15時30分
開催場所 iCeMS本館 2F交流ラウンジ
当日のお茶とお菓子 ほうじ茶 小倉かおり(丸久小山園)、香果餅(有職菓子御調進所 老松)、ぎおんの里・つじりの里(宇治茶 祇園辻利)、えび名月(京都・六角 無村庵)、招き猫チョコレート
主催 京都大学 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)