栄誉

2016年11月29日

iCeMSの研究プロジェクトが 仏エア・リキードのコンテストで受賞、名古屋大と三者共同研究へ

北川拠点長

 京都大学iCeMSの北川進拠点長、元iCeMS准教授で現名古屋大学大学院工学研究科の松田亮太郎教授らの研究プロジェクト「ガスの高密度貯蔵と安全供給のためのナノ空間材料の開発」が、フランスのエア・リキード社開催のコンテスト「エッセンシャル・モレキュール・チャレンジ(Essential Molecules Challenge)」で受賞しました。

 「エッセンシャル・モレキュール・チャレンジ」は、産業ガスの供給会社としてシェア世界1位のエア・リキード社が、イノベーションの加速に向けて科学技術への注力を強化すべく立ち上げたコンテストです。第1回となる今回は、25カ国の学術チーム、研究開発組織、起業家から130件の応募があり、3つの部門で各1プロジェクトが選出されました。北川、松田両教授のプロジェクトは「ポケッタブル・スモール・モレキュール(Pocketable Small Molecules)」部門で最も高い評価を受け、今回の受賞に至りました。

 このプロジェクトは、ガス分子を高密度で貯蔵し、安全に供給するために用いる多孔性材料の研究開発に関するもので、エネルギーや環境問題の革新的な解決策につながる可能性と、その独創性を評価されました。一般にガスを運搬・貯蔵するためには、容器に充填する際、高圧または極低温にする必要がありますが、これには大きなエネルギーが必要なだけでなく危険も伴います。今回開発する材料によって、できるだけ低圧・常温に近い条件で取扱いを可能にし、必要なガスを簡便かつ身近に利用できるようにすることを目指しています。例えば医療用に使用される酸素等のガスを家庭でより簡単に使用できるようになることなどが期待されます。

 プロジェクトには50,000ユーロが贈呈され、12月よりエア・リキード社の研究チームとの共同研究を開始します。また、エア・リキード社は、今後それぞれのプロジェクトの提案を発展させ商業化技術開発につなげるための活動に、最大で150万ユーロの拠出を準備しています。

関連リンク

エアリキード: Air Liquide announces the winners of the “Essential Small Molecules Challenge” (英語)

エアリキード: Essential Small Molecules (英語)