あべ俊子文部科学大臣がアイセムスを視察訪問しました

10月6日、あべ俊子文部科学大臣らが京都大学アイセムス(高等研究院 物質-細胞統合システム拠点:WPI-iCeMS)を訪問しました。
まず最初に、上杉志成アイセムス拠点長による拠点の研究や運営に関する説明が行われました。上杉拠点長は、アイセムスの「自己集合」に注目した研究コンセプトや、多孔性材料の開発、解析設備を共有するコアファシリティの取り組みなどを紹介し、基礎研究を支えるための設備の重要性を強調しました。また、アイセムスが文部科学省の世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の拠点として、京都大学全体の改革のテストベッドとして機能していることに触れ、オンサイトラボ設立による研究発展のための国際連携体制や、若手研究者の育成、さらにスタートアップ支援を推進する取り組みについても説明しました。
その後、一行は実際の研究現場の視察を行いました。視察中、あべ大臣は大型解析機器や最新の研究設備、最新の多孔性材料研究に触れ、機器共有の工夫や資金調達の仕組みについて質問しました。
設備視察の後にはディスカッションが行われ、文部科学省側からは補助金終了後の自立化の状況や、産業界を含む外部からの資金の獲得の見込み、博士課程の学生・若手研究者のキャリアパスについて質問がありました。上杉拠点長は、補助金終了後も拠点の研究機能を損なわない工夫や、学部を伴わない研究所で優秀な学生を獲得することの難しさと、それに対する工夫について説明しました。見學美根子副拠点長・解析センター長は、最先端の機器を最大限に活用するために、研究職以外に解析機器を扱うオペレーターなどの専門人材に対する支援体制の強化や安定した職位の提供が重要であると述べ、研究現場が抱える課題を共有しました。さらに、京都大学の研究推進担当理事でもある北川進特別教授は、技術支援スタッフやURAなどの職位に対する評価システムの改善が必要であり、研究を支える人材の地位向上と全体的な研究環境の強化が不可欠であると述べました。
あべ大臣は、アイセムスの現状に対する理解と独自の取り組みに対する期待を語り、科学技術の推進に引き続き取り組む意向を述べました。また、日本の研究機関が世界で競争力を保つために、これからも現場からの声を上げてほしいと伝えました。