多くの人に親しみやすい言葉とビジュアルを

パブリックエンゲージメントユニット 特定助教
科学コミュニケーター/イラストレーター

髙宮泉水(高宮ミンディ)

Izumi Mindy Takamiya

アイセムスの研究者が取り組む「基礎研究」は、人間の視力では確認できないほどの小さな世界で展開される。その深遠な魅力と研究の意義をアピールするには、複雑な情報をわかりやすく、心に届きやすい表現にすることが求められる。「私たちの広報活動にはクリエイティビティが不可欠です」。意欲的に語るのは、パブリックエンゲージメントユニットの髙宮泉水さん。 アイセムスの魅力や研究内容を、文章やイラストを通して日々発信し続けている。

多くの人に親しみやすい言葉とビジュアルを

いまでこそサイエンス畑で研究内容を伝える側ですが、私は文系出身です。着任当初は、これまで自分が見てきた世界との表現の違いにとまどいました。理系の専門用語や、3Dグラフィックの細胞ポスター。自然科学の専門家にとって当たり前の表現は、素人の私にとっては難解であると同時に、縁遠さを感じるものでした。
  私たちが伝えたい情報の受け手は、理系の方ばかりではありません。研究成果を伝えるプレスリリースは、専門外の方にも理解しやすい文章で伝えることが大事です。科学になじみがない人にも、その重要性やアイセムスの研究者たちの情熱を伝えたい。「科学は近寄りがたい」という感覚を知っている私だからこそ、受け手の視点に寄り添った表現ができるはず。そう考えて、手書きのイラストで研究成果をわかりやすく紹介しはじめました。

アートの広がりと、「通訳者」としての使命

プレスリリースに掲載しているイラストは、国内外からポジティブな反響を得ています。いま、活動はさらに発展し、作品の展示会や研究に関連するグッズの制作など、ビジュアルからアイセムスの研究に興味をもってもらう仕掛けも企画します。また、学術誌の表紙アートなど、研究者間コミュニケーションのビジュアルも手掛けるようになりました。
  研究者のかたわらで働いて早6年。多分野のサイエンスを深いレベルで理解できるようになり、表現の幅も広くなりましたが、入所したときの心に抱いた使命はいまも忘れていません。研究者の伝えたいことも、一般の方が抱える疑問も理解できる私は、いわば二つの言語と文化を行き来できる存在だと自負しています。両者の間で、サイエンスと人とをつなぐ通訳者のような役割を担うのが私の大事な使命かなと思っています。

仕事内容

科学にまつわるさまざまなイラストやアート作品を創作しながら、日本語と英語での国際的な広報コミュニケーションを行っています。 たとえば ...

  • みなさんの手元に届ける

    広報誌、PR グッズ等の企画・制作 ・本誌、概要パンフレット ・研究内容をモチーフにした クリアフォルダ、ハンカチなど

  • ウェブサイトやSNSで発信

    ・イラスト、写真、映像等の企画・コンテンツ制作 ・ニュースの発信やフォロワーとのコミュニケーション など

  • 報道を通して伝える

    ・プレスリリース(研究成果をまとめた国内外の報道向けニュース文書)の作成・発信 ・報道機関向けの対応や企画 など

  • 直接的なコミュニケーション

    ・高校生や一般向けのラボツアーなどの企画 ・国内外の研究者への拠点紹介

制作協力:京都通信社

※本記事は、アイセムスのニュースレター「Our World Your Future vol.9」に掲載されたものです。所属などは、掲載当時のものです。