幹細胞・1分子イメージング相互サテライト構想をiCeMS-NCBS間で本格始動

2010年8月20日

 京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)の中辻憲夫拠点長らは8月24日から26日にかけ、タタ基礎科学研究所インド国立生命科学研究センター(NCBS)との連携強化を図るため、NCBS及びNCBS内にある幹細胞・再生医学研究所(inStem)を訪問します。

 iCeMSからの使節団は、他に楠見明弘教授、富田眞治事務部門長、ジヤ・カライiCeMS京都フェロー(若手主任研究者)、松田亮太郎特任准教授、ステファン・ディリング助教、スラバン・ゴパラジュ研究員、小玉裕之研究員ら計8名で成り、本訪問の目的は主に以下の3点です。

1)相互にサテライトラボを設置する構想を始動:NCBS初の試み
2)8月25日にNCBSで開催する合同シンポジウムへの参加
3)進行中の共同研究の更なる加速と、新たな連携活動の模索

 これら一連の連携活動により、インド・日本それぞれの優秀な人材(特に若手研究者)が行き交い、互恵的な発展が期待できる事が、両機関にとっての大きなメリットの1つです。

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ニュースリリース
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NCBS外観(インド・バンガロール)

インド国立生命科学研究センター(NCBS)について

  タタ基礎科学研究所の一部であるインド国立生命科学研究センター(NCBS)は、インド南部の都市バンガロールに位置する最先端の基礎生物学の研究機関です。その研究領域は1分子から生態学、進化学まで多岐に渡ります。ビジェイラガヴァン所長の強力なリーダーシップのもと急速な成長を続け、世界でも注目を浴びています。

 近年ではNCBS内に居を構える幹細胞・再生医学研究所(inStem)や、物理学・化学との融合生物学プログラムiBio等、意欲的なプロジェクトの推進にも力を入れています。

 NCBSは、国内外に6つあるiCeMSの連携機関の1つとして、iCeMS設立当初より協働を続けてきた密接なパートナーです。2010年4月にはiCeMSと学術交流協定を締結し、更に実質的な協力関係が構築・強化されつつあります。

インド国立生命科学研究センター(NCBS)

iCeMSについて

 京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)は文部科学省の「世界トップレベル研究拠点(WPI)プログラム」に採択され、2007年10月1日に設立されました。

 iCeMSは物質科学と細胞科学を統合した新たな学際領域を創出し、医学・創薬・環境・産業に貢献する事を目標としています。同時に、大学における研究環境と運営システムの面でも日本では前例のない、真にグローバルな組織の構築を目指しています。

 キーワードとなるのは「幹細胞」と「メゾ制御」です。メゾ空間とは、これまで広く研究対象とされてきた「ナノ空間(数nm 以下の原子と分子の世界)」と「バルク空間(1μm 程度以上の日常経験の世界)」の間の空間です。iCeMSでは細胞のメゾ制御機構を解明すると同時に、人工のメゾ空間を作って原子・分子集団を機能性構造体として操作する事を目指しています。これらの構造体を自由自在にデザイン・合成して活用する事で、幹細胞システムを制御する画期的な新技術を開拓します。