英科学誌「バイオマテリアルズ・サイエンス」、第1回の編集長会議をノースウェスタン大で開催

2012年3月21日

 中辻憲夫京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)拠点長とExtenal Linkフィリップ・メッサースミス米ノースウェスタン大学教授は16日、イリノイ州エヴァンストンの同大学で、英科学誌「Extenal LinkBiomaterials Science」の第1回編集長会議を開きました。同誌は、英国王立化学会(RSC)がiCeMSと今年1月に合同で発表したもので、論文の掲載は8月から電子版で開始する予定です。RSCからはExtenal Linkリズ・デイヴィーズ同誌編集局長が参加し、議長を務めました。

 会議では、同誌の方向性や対象分野、編集委員候補などについて議論されました。編集委員会は現在、共同編集長の中辻教授とメッサースミス教授に加え、副編集長のExtenal LinkJJチェン米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校准教授、Extenal Linkマティアス・ルトルフスイス連邦工科大学ローザンヌ校教授、杉山弘iCeMS主任研究者の5名で構成され、さらに5名ほどが加わる予定です。

 同誌を発刊する意義について、デイヴィーズ編集局長は「Biomaterials Science がカバーするのは、近年特に注目されている領域。既存ジャーナルとは少し異なる特色を持たせる事で、この分野の論文投稿先として新たな選択肢になると思う。その意味でも、このジャーナルはバイオマテリアル研究の基礎的な部分や、物質・材料のメゾ科学に重点を置くことになる」としています。

 メッサースミス教授もこれに同意した上で、「バイオマテリアル分野の既存ジャーナルにカバーされていない領域が、著しい成長を見せている。そうした領域の科学者にとっては、研究内容と方向性が一致する数少ないジャーナルとして貴重な存在となるのでは」としています。

 同日、会議とは別に、中辻教授による特別講演「物質と細胞の融合研究:多能性幹細胞科学・技術への展開」が、ノースウェスタン大学バイオメディカル工学部(BME)セミナーとして開催されました。学部の内外から参加があり、機械工学部のExtenal Linkホラシオ・エスピノーザ理論・応用力学プログラムディレクター等の研究者や学生で満席となりました。

 同誌の第1回編集委員会は、2012年6月に中国・成都で開かれる予定です。2013年3月には、RSCの出版する全科学誌の編集委員が集まるベルギー・ブリュッセルでの会合と、同誌の発刊記念を兼ねたiCeMS国際シンポジウムが計画されています。
 

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Biomaterials Science の編集方針などについて議論する(左から)メッサースミス教授、デイヴィーズ編集局長、中辻教授


ノースウェスタン大 Extenal LinkBMEセミナーで講演する中辻教授


メッサースミス教授が所属するノースウェスタン大 Extenal LinkChemistry of Life Processes Institute (CLP) の中庭


CLP Extenal LinkCenter for Advanced Molecular Imaging (CAMI) の設備を紹介するメッサースミス教授(奥)


CLP Extenal LinkProteomics Center of Excellence (PCE) の設備を紹介するExtenal Linkニール・ケレハー PCE センター長


ノースウェスタン大エヴァンストンキャンパス構内


ノースウェスタン大エヴァンストンキャンパスから、ミシガン湖越しに臨むシカゴ(奥)

文・写真:京都大学 iCeMS 飯島由多加