活動報告

2016年5月13日

高校生向け公開講座 iCeMS Caravan「学びのカラクリ」を実施しました

 京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)に所属する研究者(勝田陽介特定研究員、杉村薫特定助教、廣理英基特定准教授、古川修平准教授)が、高校生を対象にアクティブラーニング型教育プログラムiCeMS Caravan(キャラバン)「学びのカラクリ」を実施しました。

・2016年4月16日:学校法人京都光楠学園京都学園高校 (参加者20名)
・2016年4月23日:長崎県立五島高等学校 (参加者20名)


 細胞生物学・化学・ケミカルバイオロジー・物理学などの分野を超えた学際研究に取り組むiCeMSの若手研究者は「自ら考えること、学ぶこと、伝えることの重要性」を日々実感しています。iCeMS Caravanは、高校生にもそれらを感じてほしいという強い思いのもと立ち上げられたプロジェクトです。iCeMSでは、edX講義「生命の化学」*1、ILASセミナー「化学と生物学の視点をこえて」*2というアクティブラーニング型の講義を提供しています。iCeMS Caravanは、これらの講義で開発した教育プログラムを高校生向けに発展させて、高校生が「知識を知恵に変え、知恵をもとにアイデアを創出し、アイデアを人に伝えるプロセス」を経験し、その裏に潜む「学びのカラクリ」を実感することを目的にしています。

 今回のiCeMS Caravanでは、まず研究者が細胞生物学、ケミカルバイオロジー、化学、物理学、それぞれの視点からDNAの基礎知識や最新の研究成果を説明しました。高校生は、そこから新しく得た知識を整理し、グループワークを通して創りだした新しいアイデアを科学論文の構成にそってわかりやすく人に伝えるという一連の流れを4時間半かけて体験しました。「DNA折り紙を応用して病気や風邪に強い人間をつくりたい!(京都学園高校)」、「テロメアーゼ制御を使った老化防止による種の保存(五島高校)」など、奇抜なアイデアが次々に飛びだしました。

 参加した高校生からは、「ただ理解するだけでなく、他人と教えあい他人と意見を交換して一つのいいものを作るという大切さを学べました(京都学園高校)」、「勉強は強いられてするものではなくて、本当の学びは「面白い」という感情から始まるものだろうと心から思いました(五島高校)」といった声が聞かれました。iCeMS Caravanの企画メンバーは「今回のiCeMS Caravanが、高校生が勉強することの意味を捉え直し、自らの手で人生の舵をとるきっかけになればうれしいです。」と期待を寄せました。

(iCeMS Caravan に関するお問い合わせは E-mail: caravan@icems.kyoto-u.ac.jp | 電話:0774-38-3227)

1 edX講義「生命の化学」は上杉志成教授によって展開されている大規模公開オンライン講座。edXは世界トップレベルの大学の講義をインターネットで無料配信するだけでなく、オープンソースの教育プラットフォームの開発と大学間ネットワークの構築を通じて、オンラインとキャンパス双方において「学生たちがどのように学ぶか」を研究し、教育改善に取り組むことが特徴です。


*2 ILASセミナー「化学と生物学の視点をこえて」は古川修平准教授、杉村薫特定助教、樋口雅一特定助教、藤島和人特定助教が担当する講義です。エネルギー生産や進化などテーマを毎回ひとつ取り上げ、そのテーマについて化学からの視点と生物学のからの視点を教員が紹介します。その後、学生がグループワークを通じて議論し、最後に、「化学と生物学の視点を超えた先にある新しい研究の可能性」を科学論文の形式にそって発表します。これらの一連のプロセスを繰り返すことで、学際的な視点と科学論理構築能力を獲得することを目標にしています。

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  • NHK総合長崎「離島の1日特別授業 最先端科学で”学び”を伝える」(2016年5月12日)
  • 福江ケーブルテレビ ふくえチャンネル「アイセムスキャラバン」(2016年4月27日)
  • 長崎新聞「学びの大切さ考えて」(2016年4月26日)

写真

生徒たちに語りかける、iCeMSの古川准教授(左上)、勝田研究員(右上)、杉村助教(左下)、廣理准教授(右下)
アイスブレイクを楽しむ高校生たち
真剣にアイディアを出し合う高校生たち
全員で集合写真