【8/20開催】見學グループセミナー:當麻憲一 特定拠点助教
この度、見學グループは以下のとおりセミナーを開催いたします。
皆様のご参加をお待ちしております。
當麻憲一 特定拠点助教
高等研究院 物質-細胞統合システム拠点 見學グループ
「血管周囲ニューロンによるPiezo2依存的接触を介した3D血管パターニング機構」
Abstract:
中枢神経系の血管系は、正常な神経機能に必要な栄養と酸素を供給するために、規則正しく配列された格子構造で組み立てられている。しかし、このような3次元血管格子形成を制御するメカニズムは、平面的な2次元血管形成とは対照的にほとんど明らかにされていない。我々はマウス網膜をモデルに用い、ウイルス標識、遺伝子標識、および単一細胞トランスクリプトミクスプロファイリングを組み合わせることで、網膜を構成するニューロンの一つ、網膜神経節細胞(RGC)のサブセットであるFam19a4/Nts陽性のRGCを、特徴的なエンドフィートで血管と直接的に接触している血管周囲ニューロン(Perivascular neuron)として同定した。この血管周囲ニューロンを遺伝学的に除去すると、RGC層近傍の柱状血管が無秩序になり、3次元の血管構造が崩れた。我々はさらに、機械刺激受容チャネルであるPiezo2が血管周囲ニューロンにおける血管との接触面にエンリッチしていること、そしてPiezo2の血管周囲ニューロン特異的ノックアウトでは、ニューロンと血管との接触が消失し、先述の血管周囲ニューロンの遺伝学的除去と同様の3次元の血管構造異常を示すことを明らかにした。このような異常な3次元血管格子形成は、成体網膜において血管灌流の減少による慢性的な低酸素状態を引き起こし、進行性のRGC喪失に起因する視覚機能の低下につながった。さらに小脳においても血管に接触しているPiezo2陽性の顆粒細胞のサブタイプを発見し、それらが網膜同様の血管パターニングを担うことを示した。以上のことから血管周囲ニューロンが血管とのPiezo2依存的接触を介して3次元血管格子形成を制御するという特異的かつ予想外の機能、またその機能は網膜血管形成だけではなく他の中枢神経系でも採用されているということが明らかになった。
- 日時
- 2024年8月20日(火) 16:00-17:00
- 場所
-
京都大学アイセムス本館(アクセス)2階 セミナールーム(A207)
(「東山東一条」交差点すぐ、京都市バス「京大正門前」バス停 下車目の前)
- 事前登録・参加費
- 無
- 言語
- 日本語
- 主催・問い合わせ先
-
京都大学iCeMS 見學グループ
kengaku-g[at]icems.kyoto-u.ac.jp