活動報告

2025年5月29日

アイセムスは環太平洋ミーティング「New Developments in Biomedical Sciences」をUCLAと共催しました

 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)・京都大学・台湾中央研究院(Academia Sinica)による環太平洋ミーティング「New Developments in Biomedical Sciences(生物医学分野の新展開)」が、2025年5月14日から16日にかけて、UCLAのCalifornia NanoSystems Institute(CNSI)で開催されました。

 本シンポジウムは、アイセムスの玉野井冬彦教授とUCLAのJerome Zack 教授, Jeffery Miller 教授、台湾中央研究院のTzu-Ching Meng教授、京都大学国際戦略本部の北島薫教授が共同でオーガナイザーを務め、アイセムス、UCLA/CNSI、中央研究院が共催し、日本学術振興会(JSPS)、UCLAジャパンセンターの後援により実施されました。腫瘍免疫学、システム生物学、ケミカルバイオロジー、放射線治療などの分野における最新の研究成果について、環太平洋地域の研究者が集まり、活発な議論が交わされました。


5月14日(Day 1):腫瘍免疫学

 初日は、共催機関を代表する関係者による挨拶で開幕しました。シンポジウムの主要なオーガナイザーの一人であるJeffery F Miller教授(Director, CNSI, UCLA)が最初に登壇し、続いて、UCLAの Roger Wakimoto 研究・創造活動担当副学長、中央研究院のJames C. Liao院長、京都大学の湊長溥総長が挨拶を行いました。

 この日の最初の基調講演では、2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑特別教授(京都大学高等研究院)が「PD-1がん免疫療法の30年の歩み」と題して講演を行いました。続く2つめの基調講演では、、UCLAのOwen Witte教授が「がん治療:標的、治療法、そしてタイミング」と題した講演を行いました。。

 午後のセッションでは、「免疫系の細胞と器官」、「免疫療法(チェックポイント、T細胞工学)」、「ケミカルバイオロジー」の各テーマに沿って講演が行われました。最終セッションでは、アイセムスの上杉志成拠点長が、小分子を用いた抗腫瘍免疫の活性化に関する研究を紹介しました。

プログラム終了後にはCNSIにてレセプションが開かれ、研究者同士の自由な意見交換の場となりました。


5月15日(Day 2):システム・ネットワーク・細胞応答・化学
 2日目は、オーガナイザーの一人であるJerome Zack教授(UCLA 微生物・免疫・分子遺伝学科長)による開会挨拶から始まりました。その後、「システム生物学1」、「腫瘍生物学と細胞死」、そして「システム生物学2」のセッションが行われました。

 この日はアイセムスから鈴木淳教授が登壇し、セッションチェアを務めるとともに、標的細胞の貪食メカニズムについて講演を行いました。

 また、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授(京都大学iPS細胞研究所)が、「iPS細胞研究と応用の最近の進展」と題して本シンポジウム3つめの基調講演を行い、大きな関心を集めました。

5月16日(Day 3):放射線治療の進展
 最終日は、放射線治療の革新と国際的な連携に焦点が当てられました。最初に、JSPSサンフランシスコ研究連絡センターの中別府雄作センター長がJSPSの各種プログラムについて紹介しました。続く「「放射線治療とセラノスティクス」セッションでは、玉野井冬彦教授が、シリカナノ粒子を用いた放射線がん治療の強化について講演するとともに、セッションチェアも務めました。続いての「放射線医学・AI・データサイエンスと未来のフロンティア」セッションでは、Ganesh Pandian Namasivayam 講師が、細胞の若返りと免疫療法に向けたミトコンドリア遺伝子スイッチの研究を紹介しました。


 3日間のプログラムの締めくくりとして、参加者たちは、環太平洋地域における継続的な連携の重要性をあらためて確認しました。学術交流、共同研究、そして率直な対話を重ねていくことが、生物医学分野における革新を生み出す原動力であることが強調されました。

挨拶する湊総長
講演を行う玉野井教授