相談者に真摯にむきあう

外国人研究者支援室

有本和美

Kazumi Arimoto

英語を公用語とするiCeMSでは、研究者の約2割を外国人が占める。しかし、一歩建物の外に出るとそこは異国の地。はじめて来日する外国人は、文化の違いや言語の壁に直面し、とまどうこともしばしば。最先端の研究ができる場を与えられたとしても、生活環境が整っていなければ研究には集中できない。外国人研究者が安心して着任し、研究に専念できる環境を整えることは、iCeMSの欠かせない仕事のひとつ。その役割を担う「外国人研究者支援室」では、京大内で少しずつ波及しつつある先進的な取り組みを展開している。在室7年めの有本和美さんに話を伺った。

対応の幅は無限大

外国人研究者にとって、最初の関門は在留資格の取得です。審査にむけて各部署との調整をした上で、念入りに事前準備を進めています。そうした行政上の手続きとはべつに、外国人研究者からの依頼や相談に対応することも大切な仕事です。相談の内容は生活全般にわたりますから、仕事の範囲は一言では言い表せないほど広いんです。予想だにしなかった相談を受けることもあります。例えば、小学生のお子さんのいる外国人研究者から、「ギョウチュウ検査の方法を教えてほしい」と訊かれたことがあります。その方の母国ではそもそも「ギョウチュウ検査」がなかったので、検査の目的が理解できずに困っておられました。手順を示す画像を見せながら英語で説明しましたが、言葉選びに苦心した記憶があります。(笑)専門的で複雑な内容は、まずは日本語で私自身がきちんと理解してから、相手が理解しやすいよう配慮しながら英語で伝えています。

相談者に真摯にむきあう

相談にこられる方は不安を感じている方がほとんどですから、「なんでも聞きますよ!」という姿勢でお話を伺います。ときに行政上の手続の不備など、管轄外の私たちの立場では直接的に解決できない相談を受けることもあります。でも、「わからない」では解決につながりませんから、相談者の気持ちに寄り添い、どこに問題が生じていて、なにをクリアすべきかを明確に示してあげるようにしています。
  どの仕事でもそうですが、人と人との関係は信頼や誠意が大事。相手に信頼してもらわないと、こちらのメッセージも伝わりにくいですからね。若手の研究者であれ、すでに地位を確立した研究者であれ、そのスタンスは変わりません。どの方に対しても、同じ気持ちで対応するようこころがけています。

仕事内容

  • 在留資格取得のための支援

    ・ビザ取得のための在留資格認定証明書交付代理申請 ・在留資格の更新、変更手続き 日本で働き、生活するには入国前にあらかじめ在留資格を取得しておかねばらない。もっとも肝となる仕事

  • 住まい探し

    ・大学宿泊施設の紹介 ・外国語に対応可能な不動産業者の情報提供 住宅情報を提供し、外国人研究者の住まい探しをサポートする

  • 就労に関する手続きのサポート

    ・大学の受け入れの際に必要な書類の確認 ・銀行口座開設のサポート ・住民登録のサポート

  • 生活のサポート

    ・英語の通じる病院紹介 ・子どもの保育・学校に関する情報提供、手続き ・携帯電話・クレジットカードの情報提供や手続き ・日本語教室の案内 ・出産にともなう行政上の手続きなど 上記に限らず、生活全般に関する相談に対応し、状況に応じて同行する

制作協力:京都通信社

※本記事は、アイセムスのニュースレター「Our World Your Future vol.9」に掲載されたものです。所属などは、掲載当時のものです。